転校生 さよならあなた

 大林宣彦監督の映画作品を音楽の旋律に例えると、「マイナー」である。派手さやわくわく感はなく、しっとりとした感じの作品ばかりだ。嫌いじゃないけど、続けて何本も見ると気が滅入るに違いない。多分。
 前作「転校生」のリリースから25年ぶりに転校生がリメイクされた。ただ前回の作品とは違い「さよならあなた」というサブタイトルが付いている。今回DVDでこの新作を見た。私のように前作をリアルタイムに見た世代からすると、前作を原点として今回の作品を比較してしまう。新作はその舞台が尾道ではなく、信州・長野になっている。このため、両作品を「尾道転校生」、「長野転校生」と区別して呼ぶらしい。
 今回の作品も前半はほとんど前作と同じで、斉藤一夫が転校してきたクラスにかつての幼なじみ斉藤一美がいる。この二人が入れ替わり、男が女に、女が男になるところも一緒だ。しかし、二人が入れ替わった状態のときに一美の体が難病に冒されている事が分かる。一美の体となった一夫が死んでいくのか?。
 「転校生」の主人公は二人となっているが、やはり主演は(外観上の)一美だと思う。かつては小林聡美が演じ、今回は蓮佛美沙子が演じる。前作に比べてかなりの美形である。一方、前作尾見としのりが演じた一夫は今回やや影が薄かった。
 私的には前作のあの二人がその後どうなったのか?、大人になって再び会ったりしたのか?、もしかして二人が結婚してくれていたら嬉しいなあ、と思ったりして、そんなサイドストーリーを新転校生に加えてくれていたら良かったのに、そんなシーンはなかった。
 前作では最後の一夫がまた引っ越して行くシーンに、元に戻った一美がちょっとかわいく見えたところが印象的だったが、今回はちょっと釈然としない終わり方をした。
<初出:秀コラム 第1519話>

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