おくりびと

 巷では高評価の映画「おくりびと」だが、私にはちょっと気になる点があった。リアリティだ。本当の死体でないことはこの際問わない。当たり前の話だから。私が気にしているのは主人公の彼が納棺師という仕事に就いたいきさつだ。
 東京でオーケストラのチェロ奏者をしていた小林大吾は、そのオーケストラの解散によって職を失い、郷里の山形に夫婦で戻る。早速の職探しで「安らかな旅のお手伝い」という求人広告を見つける。「年齢問わず、高給保証!実質労働時間わずか」。大吾は旅行代理店と思って面接に出向くと、NKエージェントという、その会社は納棺を生業にする代理店だった。NKは納棺の略。求人広告は「安らかな旅立ちのお手伝い」の誤植だった。
 さて、問題はここである。旅行代理店だと思って、面接を受けに行ったところが、納棺師の代理店だったり、葬儀屋であったとしたら、普通そこに就職することはないだろう。なのに、現金でその日の日当2万円を渡され、月給が50万円ということで就職してしまう点に大きなストーリーの飛躍を感じた。
 自分の身に置き換えて考えてみれば良い。そうと分かっていたら、最初っから面接なんか行かないし、そうと分かった時点で帰ってしまう。それなのに、就職を決めてしまい、妻に隠して仕事をするなんて考えられない。平凡すぎてはストーリーにならないが、ある程度のリアリティは必要と思われる。
 世間的には評価も良い作品であるが、最後のシーンでの、「お涙頂戴」の展開に個人的には興醒めしてしまった。扱っているテーマがやはり難しすぎて、うまく料理できていないようにも思えた。惜しい。
<初出:秀コラム 第1577話>

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