傍聴マニア09

 木曜深夜に日本テレビ系で放送されている「傍聴マニア09」が面白い。文字通り、裁判所での公判を傍聴することを好む人たちを扱ったドラマだ。裁判の面白さをベースにしたドラマであるため、あまり深刻な話は出てこない。男女の恋愛やストーカー行為などの裁判を主に扱っている。
 主人公はフリーターの青年。暇を持て余している。ある日裁判の面白さを知り、傍聴マニアとなった。また、この青年に傍聴の面白さを教えた中年男性(六角精児)が登場するが、彼の職業は不詳。日々傍聴に通えるほど時間を持て余しているところからすれば、勤め人ではなさそうだが、どうして生活の糧を得ているかは分からない。それに法律の勉強をしている女性として南明奈が出演している。
 ドラマの方では検察官と弁護士のそれぞれの主張で描き出される被告人の二面性に対し、主人公らの考えが裁判の途中、場面が一時ストップし、寸劇となって登場してくる。被告人に対する主人公の考えや同情、悲惨などが挿入される。「被告人=悪」といった既成概念で判断してしまいがちだが、検察官、弁護士それぞれの主張で被告人が多面的に見えるところが面白い。
 私自身もマニアとまではまだ及ばないようだが、裁判の傍聴に何度か足を運んで、その面白さを喜んでいる者の一人だ。実際に法廷で見る被告人は実に神妙で、思ったような悪人ではない。むしろ笑える。そして、法廷の場では被告人の生い立ちに始まり、彼(または彼女)の人生劇場が繰り広げられる。
 このドラマではこれまで判決に及んだ回はない。裁判は通常複数回の公判を経て判決に至るが、ドラマでその一連の流れを追うことまではしていない。判決も面白みの要素の一つではあるが、そこまで含めてしまうと、ドラマの構成が冗長的になってしまう。裁判のポイントにフォーカスして、その多面性を紹介する。私はむしろこのやり方が正解だと思う。
 裁判員制度の導入もあって、裁判そのものがやや身近になってきているのかもしれない。しかしその一方で、裁判員裁判にならず、新聞にもニュースにも出ない事件の裁判が日々多く行われている。そしてそれらはいずれもリアルだ。新聞やニュースの中の出来事でしかなった裁判が実は非常に身近で面白いものだということをこのドラマは訴求している、と思う。

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