電子書籍化も3冊目。校正をやり始めたらいろいろと書き足したり修正したりと手間が掛かりそうなので、校正漏れも含めて、できるだけ発表当時の原稿のままに電子化しようという方針のシリーズである。ただ、レイアウトが壊れていないかとか、半角と全角が正しく区別されているかなど、ペラペラと約200ページをめくることにはしている。タイトルから中身を思い出せるのがだいたい七割くらい。一割は、「こんなの書いたんだ?!」といった感じである。時が経つことによる忘却は、ある意味面白い。
一旦原稿を発表したからには、その考えは一貫して貫こうと思っているが、今となってはやや考え方に変化が生じてきているのが分かる。特にお金に関する考え方が変わってきた。例えば、先日の消費税の増税について。「これからは買い物を控えよう」とか、「もっと頑張って(残業して)稼ごう」という思いには全く賛同できない。そういう考えでは、一生お金に困る人生のままだと思う。「宝くじが当たったら」と言いながら、買った宝くじが当たるよりも、交通事故に遭う確率の方がはるかに高いし、言うだけで買ってもいないケース(結果としてはこっちが賢明)も多い。増税前に何か買い貯めるにしても、高々1,000円程度の差額のために、混雑の中、余計な時間を掛けてまで買い貯めをする必要があるのかと思い、自重した。ただ、消費増税を口実にエレキギターを一本買ったが、それはエクスキューズで、好き勝手なやや後ろめたい買い物に対する言い訳でしかなかった。
かつては勉強すると良い会社に入れて、良い会社に入れば一生安泰で、幸せになれると思っていた。ところがどうだろう。幸せとはそれほど画一的なものではなかった。様々な幸せがある。金銭的に豊かなことが必ずしも幸せではないようだ。それ以上に、やりたいことがやれているかが重要な気がする。しかしながら、「やりたいことが見つからない」、「やりたいことをやっていては食っていけない」、と言う人も多かろう。だが、人生で残されている時間は短い。
最近は自分を中心にものを考えることにした。わがままになったり、他を排してまでというものではない。サラリーマンは他人のために時間を使って、その代償に賃金を得ている。安定という名の下に、不満を抱えて時間を消耗することを潔しとせず、私はサラリーマンを辞めた。立ち位置が違うから、意見や主張も違ってくる。だから、今後私が文章を書くとしたら、作風が変わってくるかもしれない。ある意味、今の自分では書けない、書かないような文章を見ながら、電子書籍化の作業を続けている。