電子書籍第5巻 ~まえがき~より

 私が「秀コラム」を始めた15年ほど前からに比べると、個人が自由に自分の考えや意見を発表できる機会は大幅に変化した。それがある種、私が日常的にコラムを書くことから遠ざかっている原因の一つになっている。世の中が便利になることは全てが良いことばかりではなく、その影と言うか、負の部分が現れる。ちょっと古くは、オレオレ詐欺に、振り込め詐欺。出会い系からの様々な事件や詐欺行為。架空請求やメールによる詐欺など、これらは枚挙に暇がない。

 ネットにも様々な意見が跋扈している。ただいまは都議会のヤジ騒ぎが話題になっているが、表面的な「セクハラ行為はけしからん!」は当然ながら、一方では被害者の女性都議の過去を引っ張り出してきて、そこをヤジ以上に攻撃している(本人のところに届いていないかもしれないが)。自分の身分を隠して、何が真実か分からない、勝手な発言も多い。それとそれに追従して、煽る者達。暇な奴らだなぁ~、と思いながらも、つい見入ってしまう(彼らのエネルギーをもっと有効に使えないものだろうか)。まあ、面白いのは事実だが、度を過ぎると不愉快になってくる場合もある。

 素人の発言は裏取りをしていないのがほとんどだ。マスコミで報道される情報をソースに、それらを元に、感覚で判断した内容を発信している。その内容は別の人によって参照され、その裏付けが検証されることなく、増幅して拡散される。文章がうまく、もっともらしく書かれている文章もよく読むと、その正当性の裏付けが全く論じられていないものも多い。理由を述べずに、受けの良い結果だけを訴求している。適当に新たな都市伝説を作っているようなノリだ。

 リテラシーという言葉があって、「読み書きの能力」という感じの意味である。これがITリテラシーとなると、基本的に、キーボードを使って文字を入力することなどが中心に扱われているが、今後は「読み」の能力が重要で、これらを学校などでも訓練することが求められる気がする。ネットにある、どの情報が信頼でき、どの情報の信憑性がないかを判断する能力である。

 そんなことを考えながら、日頃の筆が止まってしまった。過去の文章を読み返しながら、ある時は自省し、自らの立ち位置と表現力を再考している。

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